組対のデカ
「まあ、そう割り切ることも出来ますが、かと言って、殺しまでは」


「速水、君は甘いよ。その程度の認識なのか?ヤクザが結託したら恐ろしいことを仕出かすのぐらい、分かりきってることだろ?」


「ええ。ただ、私は組対四課じゃなくて捜査一課の刑事なので」


「単に配属先が違うだけだ。目的が刑事事件の犯人逮捕であることに間違いはない。気合を入れ直してくれ」


 俺も少しきつい言葉を掛けることがある。


 同じ刑事同士でも、部署が違えば、あまり接点がない。


 組対が扱う事件には、一課を始めとする刑事部のデカたちはほとんど関与しないのである。


 俺も刑事部が組対部と違うことをしているのは分かっていた。


 ゆっくりとしている暇はない。


「速水、捜査に戻れ。君がここで射撃の腕前を見せても始まらない」


「分かりました。また何かありましたら、よろしくお願いします。一課でも我々は最前線にいる分、情報が錯綜しますので」
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