組対のデカ
 俺たち組対が一課の捜査方針に口出しすることはないが、長谷川の死があまりに唐突で、自殺を考えるようなことがない以上、巧妙に殺害されて自殺に偽装されたことも念頭に置いている。


 河村組と三嶋興業の関係者は、取調室内においても全く自供することはなかった。


 一斉検挙が行なわれたあの夜、歌舞伎町で銃やクスリなどの物品を流そうとしていた事実を、だ。


 あの日のために俺たち組対はしっかりと歌舞伎町を内偵し、中で何が行われているのかを把握してからガサ入れした。


 タイミングは間違っていなかったと思う。


 ただ、関係者を引っ張っても肝心の供述が取れないと、話にならない。


 俺たち組対の人間たちは常に危ないものと接触してばかりだ。


 稀に事件が大規模だと、倉田五課長も臨場することがある。


 あの夜は同じ組対部でも暴力団関係の仕事を扱う組対三課のデカたちが車を出してくれていた。


 主任の木野原警部補宛に、倉田から容疑者を本庁に護送する旨、伝達があったらしい。
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