組対のデカ
 あの日の翌日、時を重ねるようにして、東京湾に停泊中の船舶の積荷検査が警視庁公安部公安第一課の刑事たちによって執り行なわれた。


 ワインが入っていた木箱に隠されるようにして、拳銃が数丁と、覚せい剤や大麻などのクスリが発見されている。


 公安第一課のデカたちは主に左翼担当で、この船が北に行く情報を事前に掴んでいたらしい。


 将軍を名乗る独裁者は去年死んだのだが、後継者はちゃんといて、これから先もあの王朝国家は続くようだった。


 アジア担当の外事第二課の人間たちも出動要請と共に駆けつけていて、公安の働きが何かと熱くなった日だ。


 俺たち組対には直接的に関係のないヤマだったが、前後に歌舞伎町で流されようとした物品と、偶然でも追うようにして向こうの国に送り込まれようとしたブツに関係がないとは言い切れない。


 それに組対がやっている行動は、公安のデカたちのそれとも連動している。


 そのわずかながらの関係性が、裏で事件が動いた鍵となった。


 俺も組対の一員として、様子を窺うつもりでいる。
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