組対のデカ
 この臭気は実に独特だ。


 俺もデスクに座り、員面調書を付けた。


 こういった事件では必ず調書を付けてないと、後々まずいことになるからだ。


 ずっとキーを叩き続けた。


 <河村組と大塚会のアジトに侵入し、関係者を捕縛。数名を射殺後、撤収。捜索後、一課の北山院警視率いる特別捜査部隊と合流。二つの組を無事殲滅>
 

 打ちながら思う。


 これが記録として残り、後々、後輩刑事たちも見るだろうと。


 俺も調書を付けるのには慣れてない。


 だが現役の刑事にとって、事件発生時こういった書類を付けるのは当たり前のことだ。


 そして入院中の大口が今回の一連の事件に関係しているのは、ほぼ間違いないと思った。


 長谷川が生前、大口が特捜部にいて政治家の汚職を追っていた事実は裏が取れている。


 その大口がヤクザを動かし、ビルから転落死させて自殺に見せかけたことで、長谷川を葬った。
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