組対のデカ
「そちらのパソコンを高検にて証拠品として改めさせていただきますので、ご提出の方よろしいでしょうか?」


「お前らは現役の地検の人間を信用しないのか?」


「するしないじゃありません。立派な検体ですから」


「……」


 大口が黙り込む。


 柳や側近議員たち民自党の機密が、今大口の持っているノートパソコンに詰まっているはずだ。


 柳は官僚時代から旧建設省の利権の全てを握っていて、それを元手に政界へと進出してきた。


 柳やヤツの側近たちを捕まえることが、今現在国土交通省となっている巨大省庁の事務方と政務方双方の大掃除になることは目に見えているのである。
    

「あなたは特捜部副主任の橘賢三郎検事にメールを送った。長谷川さんの転落死の真相を知ってからです。それで警察と暴力団の両方を引っ掻き回すためにあえて利用した。違いますか?」


「ハセさんの死を利用しただなんて人聞きが悪いな。俺もそこまで非情じゃないぞ」
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