組対のデカ
「いえ。何かやりきれないものがありましてね。あの大口検事が逮捕されるなど」


 と返す。


「仕方ないよ。悪いことしたんだから」


「まあ、それはそうなんですけど……」


 俺も言葉尻を濁す。


 確かに疲れていた。


 肉体面ではなく精神面で、である。


 また組対部に連絡が入れば、積荷検査などの業務へと回されるのだ。


 正直なところ意外だった。


 俺自身、ここ最近検察の動向がおかしくなってから、悩み事が増え続けていたのだ。


 心労が溜まっていた。


 だが河村組や大塚会の関係者は処分したのだし、事件の核心にいる大口たち検察官が逮捕された後で、俺たち組対も一仕事済んだと思っていたのである。
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