組対のデカ
「そうですか。私は高検の人間たちが難渋してると思ってましたが」


「いや、案外高検の検事たちも賢くてね。押収したノートパソコンに入ってたデータを見ながら、大口への取調べを進めてるらしい。極秘扱いの文書等も出てきてるそうだ」


「分からないものですね。現役検事がヤクザと取引をしてたなんて」


「ああ。ただ、四課が動いたからよかったんだよ。同じ組対でもやってることは全然違うからな。あっちはヤクザの取り締まり、こっちは銃器やクスリの押収及び精査。捜査対象者は与太者で似てるけど」


 倉田がそう言ってカップに口を付け、熱めのコーヒーを啜り取った後、自分のデスクに戻る。


 東京高検の鈴木たち検事は、この暑い中でもずっと大口を聴取し続けていた。


 俺も察している。


 検事が大変な仕事だということを。


 同じ法曹界にいて公僕でも、検事や裁判官と弁護士はまるで給料や待遇が違うのだから……。


 司法試験合格後の司法修習でも弁護士志望の人間が圧倒して多いのだし……。
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