組対のデカ
 鈴木や、彼のブレーンの堂本副検事は大口に対し、ずっと取調べを続けている。


 俺たち警察でも組対部にいる刑事とはまるで違っていた。


 警視庁公安部公安第三課長の丸岡が俺宛に電話してきたのは、ちょうど大口の取調べが続いている真っ只中だった。


「安藤、久しぶりだな」


 ――お久しぶりです。丸岡さんもずっと公安部のフロアに詰め続けておられるんでしょう?


「ああ、まあな。閑職とは言っても俺もいろいろときついんだ。仕事らしい仕事がないと返って疲れるしな」


 ――そういえば、最近右翼の活動の話、あまり聞きませんね。


「うん。きっとヤツらもこの暑さで参ってるんだろう。全然出てこないしな。副都心でも街宣の話聞かないし、思想右翼もネットでは鳴り潜めてるし」


 ――そうですか。


「安藤、お前、今暇か?」


 ――ええ、まあ。
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