組対のデカ
第5章
    5
 一課が長谷川勇平転落死事件に関して、捜査を進めるらしい。


 どうやら自殺じゃなくて、他殺の線も濃くなってきたからである。


 何せビル屋上から落ちて死んだのは、警視庁旧捜査四課にいた経験のあるマル暴だ。


 しかも死亡時に屋上にワープロ打ちの遺書を残し、履いていた靴も揃え、ビル下へと落下したのには不審な点が見受けられる。


 なぜ退職したマル暴がビルから飛び降りて死ぬ必要があったのか……?


 長谷川を恨んでいる暴力団員は多い。


 骨の髄まで、である。


 最初は警視庁刑事部の一課の関係者たちも自殺で処理するつもりだった。


 だが今回の事件に関して殺しの線も捨てられないのである。


 巧妙な偽装工作が図られた可能性が高かった。


 だから、あえて再捜査を行なうことが確定したのだ。


 すでに管轄区内である所轄の西新宿に在籍する刑事たちが、署刑事課強行犯係の真横の
< 23 / 259 >

この作品をシェア

pagetop