組対のデカ
 それに外事などは海外にまで乗り込んでいくのだ。


 長谷川転落死の翌日、東京湾に停泊中だった船舶の積荷検査が公安第一課のデカたちによって行われ、それから全ての事件が発生している。


 自分が考えている以上に、事件自体、複雑に入り組んでいたんだなと思っていた。


 こういった中でも組対は動くのだし、公安の仕事も微々たるものながら裏で続く。


 多少のことは気に掛ける必要がないと思っていた。


 俺もその日は丸岡と会い、今回の事件の顛末を話そうと考えていたのである。


 丸岡にはそう気兼ねする必要がないと感じていた。


 元々同じ水を飲んでいたのだから……。


 エレベーターを降り、地下の公安部フロアへ入っていくと丸岡がいて、


「おう、安藤。さっきは電話で済まなかったな」


 と言った。


「いえ。別に気にしてませんから」
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