組対のデカ
第39章
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「大口検事は東京地検本体や付属する特捜部を死守し、来月の国会閉会後、民自党政調会長の柳龍二や側近議員たちを公職選挙法違反で一斉摘発するために一連の事件を仕組んだんです。そのために長谷川元警部補が犠牲になりました。ビル屋上から自殺に見せかけて転落させられ、殺害されて」


「俺はその大口って検事がどんなヤツか知らないが、悪党だな」


「まあ、そう言われればそうですね。私も同感です。大口検事に酌量の余地はありません。当然検事バッジを外すべきです」


「それにしても、あの柳を立件するために仕組んだとはね……」


 丸岡が言葉尻に含みを残して言った。


 だが、これで柳を始めとする旧建設省OBで、汚職に関与していた族議員たちは残らず逮捕される。


 結局これが大掃除となるのだった。


 悪いことを仕出かした人間たちには当然勾留が不可欠だ。


 取調べもしっかり進むと思われる。


 俺も地下の公安部のフロアで丸岡と話しながら、また通常の業務に戻る必要があると考
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