組対のデカ
 犯罪計画に旧友を使ったのだから、だ。


 長谷川転落死を追っていた速水や越沼たち一課の刑事は、北山院が率いた特別捜査部隊とは別行動を取っていたのだが、事件が無事収束したことで西新宿署の帳場へと戻った。


 同時に組対部でも四課のデカたちが自分たちのフロアに詰め続ける。


 今回の事件に関して司直が最後にするのは、高検の検事たちが全ての事実関係を知っているものと思われる大口から事情を聞くことだけだった。


 それが検察の持つ切り札である。


 何も乱暴な取調べをするわけじゃない。


 単に大口本人が使った長谷川転落死事件の真相と、それを利用して民自党の国会議員たちを逮捕するための算段をしたことを聞き届けるだけである。

 
 俺も鈴木や堂本たち高検の検事が大口から事情を聞けると踏んでいた。


 数日後、お盆休みに入り、俺も休暇をもらってゆっくりするつもりでいる。


 まあ、一口に休暇と言っても、単に家で眠るだけだったが……。


 普段睡眠不足で何かと疲れているのだし……。
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