組対のデカ
 ふっとコーヒーが飲みたくなって、フロア隅に設置してあるコーヒーメーカーへと行く。


 そして一杯淹れた。


 不安はある。


 いくら刑事として公務員であったにしても。


 リストラこそないのだが、部署換えや配置換えなどはある。


 俺もそういったことに巻き込まれる可能性があった。


 だが組対部に在籍していて長い以上、警察内の情報は知り尽くしているのだし、どこに移されても構わない。


 これは人事の季節に悩むことで今悩むことじゃなかった。


「東京高検は大口検事を在宅起訴するそうだ」


 数日後、五課長の倉田からそれを聞いて、気持ちが落ち着く。


「課長、柳たち国会議員への特捜の捜索は一体どうなるんでしょうか?」


「安心しろ。大口の代わりにちゃんと主任検事がいる」
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