組対のデカ
 一方で河村組や大塚会の人間たちを使い、全ての事件を操っていた大口への取調べは続いている。


 病室内で事情聴取が行なわれていた。


 大口が全てを自供したので、身柄は病室に置いたまま、書類送検する。


 俺も組対部にいて、疲労を感じることはあった。


 いくら組織犯罪対策の担当部署と言っても、早々出番があるわけじゃないからだ。


 だが今からこの手の事件が増えるだろう。


 そう認識していた。


 フロアに詰め、押収済みの銃器やクスリなどを精査し、水際で止める策に追われていて。


 九月の下旬に一度、右翼担当である公安第三課の丸岡と会った。


「安藤、お前らも忙しいだろ?」


「ええ。……丸岡さんは普段一体どんな感じで?」


「俺?俺は変わらないよ。ずっと右翼の取り締まりだ。最近はネット右翼を潰すのに躍起になってる。アイツらは行動右翼とまるで違うからな。やり方が陰湿で汚いんだし」
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