組対のデカ
 おそらく毎晩ワインを好きなだけ飲み、妾を侍らせることなど当たり前だと思われたし、ミサイル打ち上げが失敗に終わったとなると、何か次の策を考え付くだろう。


 あの王朝国家での内部事情は警視庁公安部の公安第一課の人間たちが知り尽くしているものと思われる。


 俺たち組対は町岡たちに対する取調べを進めていた。


 そして積荷検査から数日が経ち、西新宿署に設けられた捜査本部に本庁から管理官がやってきた。


 事が刑事事件性を帯びているとあってか、恐持ての警官が数名の部下を引き連れて、署内の捜査本部に入り、


「今日からここ、退職警官転落死事件の帳場に着任する北山院(ほくざんいん)だ。よろしく」


 と言った。


 北山院勝(まさる)警視は、警視庁でも数々の難事件を解決してきたデカだ。


 噂では聞いて知っている。


 いろんな事件を解決に導いてきた輝かしい過去があったと。


 そして凄腕で通る分、こういった事件には打って付けだと。
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