組対のデカ
ているのだった。


 動くときには動くしかない。


 越沼は出遅れた形だ。


 おそらく速水は自分たちの班の捜査員を引き連れ、検証していくつもりなのだろう。


 事件が発生して一定期間が過ぎ、デカたちもこれから外気が上がり、蒸し暑くなり出すので、捜査を急ぎたいものと思われる。


 越沼が柴嵜を使って検視官の友原を呼ばせたのも、転落死した遺体に目立った外傷や刺し傷、銃創などがなかったかどうかを調べるためだ。


 仮に体内から睡眠導入剤やクロロホルムなどの反応が出れば、検視官だけでなく、監察医にも連絡を取る気でいるようだった。


 越沼は速水とは刑事としてのタイプがまるで違い、勘で捜査するのを極端に嫌っている。


「友原さん、遺体はビルから転落して死亡した後、死後硬直が起きるまでどんな感じでした?」


 越沼はやってきた友原相手に、まず問う。


「私の見立てでは普通にビルから転落したと思いますね。体内から薬物反応などは出てま
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