組対のデカ
 速水は気が抜けたようで笑い出す。


「バカ野郎!まだ事件が解決したわけじゃないぞ。しっかりやるからな」


「分かってます」


 翻って軽く髪を掻き揚げ、ゆっくりと長谷川が転落した場所へと向かう。


 すでに現場保存用ロープ等は外してあり、越沼が白手袋を嵌めて歩き出す。


 捜査は続いた。


 四月の太陽はもう蒸すように暑い。


 すでに東京の街は初夏の陽気だった。


 曇りや雨の日があったにしても、気温はだいぶ上がっている。


 俺たち組対のデカはずっと長谷川転落死事件を見ながら、一方で町岡たち容疑者を取り調べていた。


 何かが得られればいいと思いながら……。
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