組対のデカ
 俺たち組対五課のデカたちも、歌舞伎町での一件と船舶の積荷検査の一件、それに今回の長谷川殺害が水面下で繋がっているような気がしてならなかった。


 現に北川の指紋が長谷川の遺書から検出されている。


 つまり指紋が付いていた以上、北川はあの遺書を触ったことがあるというわけだ。


 いくら部署違いの俺たちが推理したとしても、単なる推理ゲームにしかならないのだが、刑事は事件を推察することも必要なのである。


 やはり退職したマル暴が殺害されたといえば、事件にならない方がおかしいのだし……。


 もちろんヤクザ者と絡んでいた以上、長谷川が何かを知ったまま死んだとしてもおかしくない。


 組対四課のデカたちが、新宿区内にある長谷川の自宅を訪ねたのは、ちょうど大型連休に入る前だった。


 遺族は警察の捜査のためなら何でもすると言っているようだ。


 長谷川の妻で未亡人の幸恵が、


「主人はきっと殺されたんです。早く犯人を捕まえてください」


 と言った。
< 43 / 259 >

この作品をシェア

pagetop