組対のデカ
 捜査員たちは軽く頷き、皆白手袋を嵌めて、家宅捜索を開始する。


 亡き長谷川と残された幸恵の間には子供がいなかったらしい。


 捜査員の城島が個室に入ると、


「さすがに元マル暴の部屋だな。資料はいくらでもある」


 と言って、旧型のノートパソコンを立ち上げ、詰まっていたデータをフラッシュメモリに落とす。


 室内を見渡すと、洗濯済みのスーツが数着クローゼットに入れてあり、タバコの吸殻も灰皿に残っていた。
 

 缶入りのピースは全部タバコ入れに移したようで、缶は空で、タバコ入れにタバコが詰まっている。


 小一時間掛けて全ての証拠品を押収し、城島たち組対四課の刑事たちは現場を立ち去った。


 もちろん家の主である幸恵に一礼してから、だったが……。


 変転が起こりそうだ。


 一課だけでなく、組対四課も連動するようにして本格的に動き出したことで……。
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