組対のデカ
第9章
     9
 ゴールデンウイークに入り、街はざわついていた。


 やはり皆が行楽気分を満喫するのだろう。


 だが俺たち警察官はそうじゃない。


 実際、長谷川転落死の一件で、一課が殺しの線で被疑者を追っている。


 組対四課のデカたちも退職したマル暴の死が自殺に見せかけられた他殺だったとして、捜査を進めていた。


 俺たち組対五課は歌舞伎町で身柄を確保した町岡たちの取調べを続ける。


 供述は全てICレコーダーを回して録りながら、同時にパソコンでも起こす。


 口を割らないのがこの手の人間たちだ。


 組対も手を焼く。


 おそらく河村組とフロント企業である三嶋興業はつるんでいて、あのビル内で巨額の銃器やクスリなどの取引をしようとしたはずである。


 俺も組対の一員として上からの指示が出るまで、現行犯逮捕した六人の容疑者の取調べを続けた。
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