組対のデカ
 と返す。


「ああ、ちょうどよかった。俺たちも今夜は思いっきりやったからな。しんどかったけどね」


 突入の実に一時間半以上前から張り込んでいて、疲れている。


 四月上旬だが、まだ寒さが残っていた。


 摘発したのが河村組の連中とあってか、組対四課としても手柄となる。


 組対四課の連中もいずれ河村組の人間たちをお縄にするつもりでいたらしい。


 新宿興益ビルにて、かねてより気がかりだった容疑者たちを捕まえ、銃とシャブを押収した後、警視庁へと舞い戻る。


 新宿から三宅坂ジャンクションに向かい、首都高四号新宿線に乗り込んで、霞が関インター方面へとひた走る。


 途中で首都高都心環状線に乗り換えると、距離は七キロ弱で、所要時間は目的地まで七分ほどだった。


 色とりどりのネオンを見つめ、車を運転しながら思う。


 確か河村組組長はあの鐘ヶ江勇次郎だったなと。
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