組対のデカ
第15章
     15
「……あの女刑事にこんなヤマ任せてていいのかな?」


 長谷川転落死事件で所轄にある帳場に詰めている警視庁捜査一課所属で管理官の北山院がそう呟く。


 他に詰めていた一課の刑事も、所轄署員で捜査を任されている西新宿署のデカたちも当惑している。


 連日、捜査会議は続いていた。


 北山院が懸念する女性警部補の速水由起は、勘で動くことが多い。


 おそらく今回の長谷川転落死でも、入念な聞き込みや現場周辺の地取りなどをせずに、自身の勘で動いているものと思われる。


 一方で越沼警部率いる越沼班はずっと事件当日、近辺にいたと思われる人間たちから徹底して聴取しているようだった。


 俺も組対部にいる人間として、一課の二つの班の迷走振りを見ていて、正直なところ驚いている。


 何か因縁でもあるのか……?


 速水と越沼の間に。
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