組対のデカ
 小波と岩佐が会って、岩佐が持っていた刃物で刺し殺した可能性も考えられた。


 当時の鑑識の人間たちの報告書と司法解剖を担当した監察医の解剖所見によると、被害者の右胸に一つ浅手の刺し傷があり、心臓部に残っていた深手の刺し傷が致命傷となったことが分かっている。


 それに転落死した長谷川がその事件で、岩佐と接触していた事実も把握済みだった。


 組対四課の一部の刑事たちは継続捜査班と協力し、事件を追い続けている。


 速水の誤認逮捕が事件解決を遅らせた。


 勘で動くデカの悪いところだ。


 根拠があって捜査を開始するなら分かるのだが、そういったものが何もなくて動くのは一番危険である。


 組対でも俺たち五課のデカは模様眺めし続けていた。


 相変わらず港中央署の刑事たちとは連絡を取り合い、北へと向かう船が停泊してないかどうか、調べるのだが……。


 左翼担当の公安第一課のデカたちと、アジア地域を担当する外事第二課の刑事たちは船があのおぞましい王朝国家へと行く情報を掴んでいるらしい。

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