組対のデカ
 顔も体型も、それに身体的特徴だけじゃなくて、どんな腹を持った人間かまで。


 大抵警察のお世話になる人間は一貫して共通項がある。


 社会においてお荷物にしかならない人間が、そういったまずい組織へと入ってくるのだ。


 公安時代からずっとそういった連中を相手し続けてきた。


 警視庁公安部にいたときは、もっぱら右翼担当の公安第三課にいて、その手の人間たちを締め上げ続けていたのを覚えている。
 

 公安は裏警察だ。


 警察において裏の顔である。


 おまけに危険な組織の人間たちを相手するのだし。


 常に闇の世界と戦うのが公安のデカたちの仕事だ。


 張り込みが数時間続くこともざらにあるのだし、自宅に数週間帰れないこともあった。


 だがそういった公安時代に身に付けた捜査手法が、今組対五課にいて生きている。


 俺自身、公安にいたときよりも今の方が楽だった。
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