組対のデカ
第17章
     17
 大塚会トップの山本陽一が、公安の絡んでいる一連の事件において、裏で指令を出しているのだろう。


 組対四課のデカが水面下で摘発に向け、動き出している。


 俺たち組対五課と四課は別部隊だったが、同じ組対部に属する刑事として同根だ。


 それに病床から東京地検の検事の大口が、転落死する前の長谷川のことを言っていたことも気になる。


 長谷川は退職直前に特捜部に知り合いの検事がいて、政治家の汚職を追っていると言っていたようだ。


 それは大口検事のことを差すらしい。


 サンズイという汚職の意味を表わす警察用語は、滅多に使われない。


 長谷川は生前、何かと敬遠されがちなマル暴だった。


 いろんな部署に在籍する刑事や、警察の枠を越えて、大口のような検察官とも繋がっていたのである。


 東京地検特捜部は恐ろしい集団だ。
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