組対のデカ
 一課のデカたちの動きは実に迅速だった。


 一課の動向と時を同じくして、警視庁刑事部の刑事たちが総力を挙げ、河村組や大塚会などの指定暴力団摘発に乗り出す。


 河村組の鐘ヶ江と酒見両名、それに大塚会の北川嘉美も捜査対象者となっている。


 北川は長谷川をビルから突き落として、自殺に偽装することが可能だった。


 犯行発生時、肝心のアリバイが北川にはない。


 当然殺害の線が濃くなってくるのだし、俺たち組対も応援部隊として狩り出される可能性がある。


 一課や組対四課がしている仕事の応援に、だ。


 ふっと記憶を辿り、俺もあの夜、歌舞伎町にある新宿興益ビル内でのブツの取引に際して外で張り込み、五課長の倉田の指令で動いたことを思い起こす。


 夜のあの時間帯にガサ入れするのは警官としてもしんどいのだ。


 真夜中にヤクザやブツのサプライヤーは集まって、物品を取り扱う。


 広域指定暴力団である河村組と、フロント企業としてバックに付いている三嶋興業の人間たちは中で取引をしていた。
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