組対のデカ
 河村組のチンピラも数人いて、見張り続けていたのをおぼろげながら記憶している。


 組対が動いている情報は組本体や関係者に対し入ってきているようで、気付かれないようビルの死角から張り込みを続けていた。


 午後十一時四十五分過ぎに携帯無線機が鳴り出し、突入の連絡が倉田から入る。


 そして臨場していた俺たち組対は一気に踏み込んだ。


 組対部でも四課と俺たち五課の人間たちが待機中の車両を出、ビル内へと踏み込み、関係者を残らずお縄にした。


 まるで偶然のように、確保した人間たちを取り調べ始めて数日後の四月中旬、警視庁のマル暴だった長谷川が西新宿の倉皇光社ビルの七階屋上から転落死している。


 組対が出来る前に警視庁にあった旧捜査四課の長谷川が謎の転落死を遂げたことで、俺たち組対のデカも当惑していた。


 あの事件にはきっと裏がある。


 単なる自殺じゃ済まないようだ。


 俺たち組対も警戒していた。


 特に組対四課のデカたちは、いずれ河村組や大塚会の人間たちが騒ぎ出すだろうと思っ
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