組対のデカ
 小波は十一階の部屋のキーを持ち、コンシェルジュの案内で殺害された場所へと向かっている。


 その会合に便乗した形で小波が闇に葬られてしまった可能性が高かった。


 継続捜査班の一部隊である特命捜査二係の刑事たちも追い続けている。


 ホテル各所に設置されていた防犯カメラの映像から小波のいた部屋に出入りした人間を調べていた。


 鑑識課の人間たちもカメラの映像をチェックした。


 あの部屋に出入りしていたのが岩佐悦朗という大塚会の構成員であったことが判明し、岩佐が新たに捜査線上に浮上してきている。


 奇妙なまでに岩佐は北川と同じ大塚会の人間だ。


 岩佐が所持していた刃物で小波を刺し殺した可能性が出てきた。


 当時の鑑識の報告書と司法解剖担当の監察医の解剖所見では、被害者の右胸に一つ浅手の刺し傷があって、もう一箇所心臓部に深手の刺し傷があり、それが致命傷となったことが判明している。


 転落死した長谷川がその事件を追う際、岩佐と接触していた事実も把握されていた。
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