夢浮橋



「信じられなかった。あれほどもののけや霊の存在を信じ、呪術や祭礼などを重んじて生きていた私でさえ、俄かには信じられませんでした……」

「どうして、信じたの……?」



ゆかりの問い掛けに、首を傾げてなぜでしょうと呟いてから、あぁと思い当たったように藤壺は笑った。



「蓮が、あまりにも投げやりな説明の仕方をするので、真面目に考えているのが馬鹿らしくなってしまって……」



そう言って楽しそうに目を細め、ちらりと蓮のほうを伺った。




「心外だな。……どうせ死期が違ったら自然に生まれ変わっても出会える確率は少ねぇ。だからここで手をうっとけよ、何年かかろうがどうせ死んでんだから変わんねぇだろ。そんで後世で会えたら儲けもんだろ。……っていう至って真剣な説明だったじゃねぇか」



「……不謹慎ですね」

「でしょう?」



ゆかりの呟きに、くすくすと藤壺が笑う。

そうか?と眉を寄せて蓮が心外そうにした。



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