夢浮橋



あそこに行けば、ここがどこなのかわかるかもしれない。


建物の近くに行こうとして、ふと誰かに呼ばれた気がして振り返った。




湖に波紋が出来ている。

風はないはずなのに。





“………”



声は湖の中から聞こえてくるような気がした。



“…ゆかり!”


「……咲?」



聞き慣れた友人の声が聞こえた。



…あ、そうか。私授業中に寝ちゃってここに来たんだった。



湖を覗いた。


透き通った水は、先ほどまで自分がいた高校の教室を映していた。




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