恋猿
−翌日−

緊張であまり寝ていない歩夢は、目の下にクマをつくりながら集合場所の正門に向かった。

「みんなおはよう!」


元気よく挨拶した。

だがクラスメートは歩夢の挨拶をスルーした。

そりゃそうだ。

歩夢にはほとんど友達がいないのだから…

仕方なく歩夢は、バスに乗り込んだ。

とりあえず高志の隣に腰を降ろした。


高志は眉間にシワを寄せながら言った。


「汚いから近寄るなよ」


一瞬カチンとキた歩夢だが、グッとこらえて言った。

「まぁまぁ、俺とお前の仲やないか!」

高志は軽く受け流した。




そうこうしているうちに、バスが発車した。


歩夢がしつこく話しかけるが、相変わらず高志はシカトを決め込む…

「おいっ!シカトすんなよっ」

「キショイから話し掛けないでくれる?」

こんなやりとりがしばらく続いた。


すると、後ろの座席に座っていたプレイボーイの直之が話し掛けてきた。

「おいおい高志、歩夢が可哀相じゃね−か!」

高志は生理的に受け付けない直之にキレた。

「黙れゴミッ」

直之は涙を見せた…

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