僕らのお気に入り❤
そんな素晴らしい美貌を持つ二人の間に生まれたあたしは、どうしてこんなにも冴えないのだろうか?
嫉妬やら羨望を持ってしまう。
複雑な気分だ……。
ため息をつくあたしに、父さんはぽんぽんと頭を叩く。
「どうしたんだい?」
「いや、ただ母さんは綺麗だなぁって思って……」
「早苗ちゃんは綺麗だったよ。もちろん、紫君も可愛いよ」
「お世辞はどうも」
「お世辞じゃないよ。紫君は僕と早苗ちゃんの子なんだから、可愛いに決まってる!」
えっへんと言わんばかりの父の顔にあたしは苦笑する。
「ありがとう。さて、今日の夕飯だけど、普通にオムライスとサラダとコンソメスープだよ」
「え~もっと他にいいものを作ってよ~」
「黙れ!あんたが突然帰ってくるのが悪いんでしょ?」
前もって知らせてくれればそれなりのものは作って用意してた。
……のはずだ。
「そんな~。紫君のケチっ☆」
舌を出してべーっとする、我が父のキモさに吐き気がするものの無視した。
「文句言うなら食べさせない。というか、あたし料理の途中だから戻るよ?」
「うう……分かったよ。今日はそれでいいよ」
精神年齢が低い父親は項垂れながらも渋々了承する。
1年半ぶりに会えたって言うのに、父さんは何も変わってない。
ある意味ほっとするというか何というか…。
まあ、悪い気はしない。
父さんは家にめったに帰ってこない。
あたしは寂しくもないから帰ってこないならそれでいいと思っている反面、逆に生きているのかが心配だけど、
父さんが帰ってこなくなるくらい研究に没頭しているんだなと分かっていた。
あたしの為に頑張っているはずだと思う。
元気でまたこうして帰ってきてるんだからそれで安心だ。