僕らのお気に入り❤
「紫君、ほんと料理上手になったよね~」
そう言い、微笑む父さんは僕の頭にぽんぽんと手をおき撫でる。
縮むからやめろ!
「そりゃ~ね、どっかの誰かさんはいつもいないし。あんた自分で料理作らないじゃん。というか、させたら原子爆弾レベルに爆発するからさせない」
あはは、そりゃそうだ、と父さんは笑う。
後半は笑いごとじゃない。現に、過去カレーを作ろうとした父は一度家一軒丸ごと爆発させた過去があるのだ。
あの時は死ぬかとあたしは正直に思った。
「ところで、紫君。ポストにこんなものが紫君宛てに入っていたんだけど――」
父から茶色い一封のA4サイズの封筒を受け取る。
表にはあたしん家の郵便番号と住所と『美咲紫様』とだけ記して、裏には何も書かれていなかった。
なにこれ? ……誰からだろう?