僕らのお気に入り❤
少し気味が悪かったけど、とりあえず封を切るあたし。
中身にはパンフレットと紙数枚と白い封書一通が入っていた。
「何これ……?」
「パンフレットだね~」
「見れば分かるよ。そうじゃなくて……これ」
パンフレットよりこの白い封書。
蜜蝋で印封されており、中を見ると、こう書かれていた。
『貴殿の本学園の入学を許可いたします』と。
学園って何?
「これ、バベルのパンフレットだね~」
「バベルってあの!? 噂の都市伝説じゃぁ……」
ほらと言って、パンフレットを見せる父にあたしは思わず目を見張った。
嘘……。
何かの間違いではないのか? とすら思えるが、思いっきりパンフレットにはデカデカと
『バルスベスタースクール』と掲載されていた。
パンフレットは疑いようもなくバルスベスタースクールのパンフレットだけど、
いやいや、何かの間違いでしょ。これは誰かの間違いで届いたものだ。
と、白い封書をもう一度見る。
『美咲紫様』ときちんと記していた。
………………。
これは……
「紫君に来たものだね。目を疑いたくなるのは分かるけどね」
現実を見ようねと父さんが諭す。
これは夢なんじゃないのかと思ってしまう。
何のとりえもないあたしにまさか都市伝説の招待状が届いたのだから。
「それで、紫君どうするの?」
父さんはあたしの答えが分かっているかのように微笑んで問うた。
「父さん、あたし――」
そう、この時一通の封書があたしの運命を変えたんだ。