「一番」になれなくて・・・
「うそだ~!」
結構な動揺具合。
そんな伊藤を見ていたら
少しからかいたくなった。
「・・・もしかして、
あんたキスしたことないの?」
「はっ・・・?!
あるし!!!」
「うそだ~!」
「嘘じゃない!
俺は小2のとき。」
「ふぅん・・・?」
伊藤は立ち上がると
私の前にしゃがみ、私の髪に手を伸ばした。
「お前こそ、本当なのかよ。」
「本当です~。
あんたこそ嘘っぽいよ~・・・
ほんとはないんじゃないの?」
街灯に照らされる伊藤の顔。
それを見ると
不思議にも身体が勝手に動き
私は伊藤の頭を撫でた。
このとき私はまだ目を逸らしていた。
自分の気持ちから。