「一番」になれなくて・・・


微かに聞こえる息遣い。


伊藤の吐息を感じた。





「なに・・・・・?」





「・・・・べつに?」





それっきり私にくっついたまま動かなくなった伊藤。



私は身体を起こそうと
伊藤の手から
自分の手首を振りほどこうとした。

・・・が
その前に伊藤が離れた。





街灯が逆光になって
伊藤がよく見えない。


一度離れかけた影が
再び私に覆いかぶさってきた。





そのとき
口に生ぬるいものを感じた。





離れた伊藤の影。





「これで2回目だね♪」












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