時計の針は戻らない。
「ばかっ、宗佑のせいで真由先輩に怒られちゃったじゃんか!」
「・・・」
そう。
彼、すばるは、1つ上の真由先輩にぞっこんなのだ。
もちろん付き合ってはいない。
すばるの半分ストーカーみたいな片思い。
「いいか、宗佑!ちゃんとやれ!そしたら放課後ジュースおごるから!」
すばるは、やる気のない俺を改心させ、がんばらせることにより真由先輩から褒めてもらうという、今時小学生でも考えないようなある意味甘い幻想を抱いているに違いないと悟った。
「わかったから、とりあえず、汗拭けよ」
彼はバカである。
でも、素直なのである。
それにしても、年上を好きになっちゃうだなんて、
俺からしたらありえない。
年齢差がたった一つだとしても、年増のおばさんだと感じてしまう俺は、年上と付き合うことなんて一生ないんだろうなと思う。