時計の針は戻らない。


「ね、村沢先輩ってほんとに真由先輩のこと好きなの?」

小春とのいつもの帰り道。
唐突な質問に驚く。

「え?一年生の間でもその話流れてるん?」


「うん、もうかなり有名だよ?
ほら、村沢先輩、あんなんだけど結構人気なんだよ?」

えっ!あのすばるが・・・。
と、一瞬思ったけど、よく考えれば当然かもしれない。
顔がいい。
運動ができる。
きさくでやさしい。
バカなところさえなければ、ほぼ100点。
ただ、そのバカさが度を越しているが故に、俺はすばると一緒にいるのが居心地いいんだろうなって思う。


「すばる、真由先輩のこと、本気みたいよ?」

「そっか・・・。まぁ、真由先輩も人気だもんね!
とにかく宗佑は、小春だけ見ててくれればいいーのっ!」

小春にこんなん言われると、
ほんとに

あ、めっっちゃかわいい

って素直に思う。

「じゃぁね、宗佑、また明日♪」

気づくともう小春の家の前で、小春は俺に手を振りながら
家の中に消えていった。



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