時計の針は戻らない。
ミーンミーン・・ミーン・・・
おい、せみ。
頼むから黙ってくれよ。
この暑さに雑音。
最近ではすばるの熱弁や指導も雑音の一部になりつつある。
「いいー?本番までもう少しなんだよー?
もっと気合いいれていくよー!」
真由先輩がみんなを鼓舞する。
隣ですばるはそれを食い入るように見つめている。
・・・チャンス!
俺は逃亡を謀った。
はぁ、はぁ、はぁ・・・
大成功!
よくありがちだが、体育館の裏まで走ってきた。
ここならまず人は来ないし、日陰。
ここ以上に快適にさぼれる場所を俺は知らない。
とりあえず、良さげな場所を探して腰をおろす。
たまに吹く風がたまんないや。