逆ハーモデル〜美少女×4人のイケメン!?〜
ひーん、なんて泣きまねをくりだす郁斗。
その姿に呆れる私。
まあ、でも本当に郁斗は天才ではないと思う。
郁斗には秀才、って言葉が似合う。
郁斗は努力してない天才肌って思われがちだけど実はそうじゃないんだよな。
関わってから一年も経ってないけど頑張ってる姿をよく見る。
「郁斗って進路どうするんだっけ。」
また鏡越しに目を合わせながら話す。
「あー、俺は憧れてたサロンの店員になるんだけどー・・・。
まぁ芸能人とかのメイク?もやる。」
ボーッとテキトーに答えていると思うけど、
目を合わせてみたらかなりキリッとした瞳で。
「・・・お前はー?事務所どこ?」
「まだー・・・。
今日はいっぱいスカウトきたからそこから決めるかな」
「“今日は"じゃなくて、
“今日も"の間違いだろ。」
光る歯を見せて苦笑い。
「ははー、さーせん」
顎を突き出してみた私。
「あ、ちょ、動くなバーカ。
今メイク中だこのやろ。」
郁斗が急にムッとして眉をひそめる。
「ごめんなさーい。」
シュン、と私は俯く。
そして数秒間の沈黙。
私の頬には毛が流れるように触れる。
う、何か喋ろうかな。
何だか郁斗と沈黙になるといたたまれない。
何かテキトーな話題を・・・。
目だけ動かしてネタになるものを探す。
ネタなんて基本何でもいいのだ。
わ、あの服ヤバ、とか。
でも沈黙を破ったのは郁斗からだった。
「・・・いきなりだけどさー、
ぶっちゃけ旬とはどーなの」
メイクをしているせいで近い顔。
その顔の中の瞳がキッと私に真剣な瞳を突き刺す。
ドクン、
旬という言葉を聞くだけで心臓が反応する私。
「どうって・・・」
私は口ごもる。
「まあお前らが気まずくなっても一向にかまわねぇけど。
どう、片想い楽しい?」
意味深な笑みを浮かべる郁斗。
たの、しい?
私は自然に首が傾いた。
楽しいって・・・わかんない。
・・・実感的には・・・、
苦しいとか辛いとかのほうがパーセンテージが多いと思う。