逆ハーモデル〜美少女×4人のイケメン!?〜
舞台映えするようにメイクは日常にするようなものよりも濃いめ。
マスカラをたっぷり睫毛にのせて、目尻に黒子をつける。
「・・・めっちゃエロい」
郁斗が私の顔を覗きこんでそう言った。
「・・・おかげさまで。」
私は嘲笑いながら言う。
私はチラリと鏡に視線を移した。
・・・大人っぽい。
自分の新しい姿に思わず笑みが零れる。
マスカラのCMでもできるくらいな目力。
プルプルした赤い唇。
軽く赤らんだ頬。
知らなかった、自分。
何か、嬉しくなってくる。
「よし、じゃ、要路呼んで来るわ。」
郁斗はうーん、と伸びをしてメイク室から出ていった。
相変わらず、女の子が寄って来ていたが。
その姿に少し呆れつつも、また鏡を見てみた。
そして自分の肌に触れてみる。
自分の瞳に自分の瞳を合わせる。
・・・あ。
どうしよう、引き込まれそう。
木崎旬に感じる、あの瞳の感覚に似てる。
ずっと、見ていても飽きないような。
むしろずっと見ていたいような。
自分で言うのも何だが、
綺麗・・・。
「美里」
そう、聞き慣れた声が耳に入りこんでハッと我にかえった。
そして瞬時に呼ばれた方に視線を向けた。
そこには、思った通り要路の姿があった。
あ、と私は軽く微笑む。
すると要路は心なしか頬と耳を赤らめた。
?
私の頭にポンとクエスチョンマークが浮かび上がる。
そして少しの間をおいて数秒。
要路がいつも通りの笑顔を浮かべて口を開いた。
「いつも以上に綺麗だよ。」
そう言いながら要路は私の頭をくしゃくしゃ撫でた。
私は肩を竦める。
嬉しい・・・。
こんなお兄ちゃんいたらいいなぁ、なんて。
「あ、髪型が崩れるね。ごめん。」
そう言うと要路はパッと私の頭から手を離して謝る。
大丈夫、
と返すと要路は申し訳なさそうに笑ってネイルを始めた。
服の色と似た、マニキュアの色。
それを上にいくにつれ白く、下にいくにつれ青く。
グラデーションされていく。
そこにキラキラしたストーンを散りばめる。
できた、
要路がそう言うと私は思わず頬が釣り上がる。
綺麗な爪と、髪と、顔と、服と・・・。
こんなに完璧なものがあっていいのか、ってくらいで。
要路は飲み物を買ってくる、てメイク室を出た。
・・・やっぱりすごい。
嬉しいな、こんな新しい自分に出会えて。
皆には本当に感謝だ。
本番、ランウェイを早く歩きたくて仕方ない。
この姿をたくさんの人に見てもらいたい。
4人の技術を見せ付けたい。
早く出番になれ、私は小さく願った。