逆ハーモデル〜美少女×4人のイケメン!?〜
早く時間進め、
そう思えば思うほど時計の針って全然進まないものだ。
何なんだ・・・。
自分の気持ちの問題ですね・・・。
自分にそう言い聞かせるようにする。
15時まで、あと1時間ってところか。
でもそろそろ移動が始まってもいい時間だな。
私は辺りをチラチラ見回す。
辺りを見れば短い丈のボトムスが多くてなんだか自分だけ垢抜けている。
かぶらない、
とはこんなに勝ったような気分にさせてくれるな・・・。
そうして、ケータイを弄りながら時間を潰す。
30分程経った頃に会場の舞台袖に行けと、私達は促された。
私は立ち上がり、
カツカツヒールを鳴らしながらメイク室をでた。
メイク室を出て、
数歩歩くと壁に背中を預けた木崎旬が目に入った。
カツカツ鳴るヒールに気づいたのか木崎旬が顔を上げた。
「よ。」
そう言いながら壁から背中を離し、私と共に歩きだす。
「お前の出番は最後。
付き添いは一人までだから俺が来た。」
そう私の聞きたかった事を私が質問する前に答えてくれて思わず怯んだ。
私達は周りにキャーキャーと騒がれつつも舞台袖に到着。
「ドキドキするー」
「コケたらごめん」
「取り合えず楽しむ!」
そんな風に出演者が口々に言っていて舞台袖はざわついていた。
私達二人は端の方のテーブルに軽く腰をかける。
緊張・・・かぁ。
どうなんだろう。
すごくドキドキしていることに変わりはない。
けど、何か違う・・・ていうか。
この感覚は・・・何だろう。
楽しみ過ぎて、すごい。
少し先の未来で、あの道を歩いてる自分。
それを想像すると、言葉に表せない感情が溢れる。
楽しみのような、
戸惑いのような、
何か、空しい気持ちもほんの一滴混じるような。
ふはー・・・と私は軽く息を吐く。
そんな私をチラリと見る木崎旬。
「緊張か?」
黒い瞳に見下ろされる。
「ううん、何か・・・楽しみで。ワクワクしてる。」
自分でも頬が釣り上がる感覚に気づいた。
そうか、と言う木崎旬。
そして木崎旬が私から視線を外し、
私達二人とも前を向いた瞬間に、
ステージからの司会の声と会場のどよめきが耳を突いた。
始まったな、
そう頭の中でぼんやり考えている間にノリのいい音楽が流れはじめた。