逆ハーモデル〜美少女×4人のイケメン!?〜
どんどんモデル達がランウェイに行ったと思えば帰ってきて。
感想を言い合い、笑顔を零し、泣いたり。
そんな姿を客観的に見る。
私も泣いたりするかなー・・・。
ぼーっと考えてみる。
けど今はランウェイを歩くイメージをしないと。
クールな感じを意識で。
服も髪もメイクもネイルも・・・
そして私自身もほんの少し・・・、
全てを見せて、魅了させて。
わかるように。
伝わるように。
大丈夫。
出番が終わった人から舞台袖を後にして、
私達とあと一チームしか人がいなくなった。
モニターで今歩いている人を確認する。
今はこちらに戻って来ている途中。
あと少しだ。
私は鏡で軽く自分の姿をチェック。
髪を手櫛で梳かす。
うん、最高。
皆がやってくれたんだから。
私はスルリと上着を脱ぐ。
その瞬間に姿を現す青い服と私の肌。
へそが歩く度にチラチラ見え隠れする。
木崎旬もちょっとセクシーなの作ったな。
木崎旬の願望か?
そんな風に今更考えて、一人で笑う。
私は木崎旬に視線を向ける。
「・・・行ってくる。」
私はそう言った。
木崎旬はニカっと歯を見せて笑う。
・・・ドキ
何故かその笑った顔を見た瞬間に胸がキュンと締まる。
・・・初めて、見たな。
木崎旬のあんな満面の、笑顔。
「頑張れ、見てるから。」
そう、
木崎旬の言葉に後押しされて、舞台のすぐ脇に行く。
前のモデルが戻ってきて、
私達の軽い紹介のアナウンスが入る。
それが終わって、
私達が選んだギターとキーボードの音が強調された音楽がかかる。
私はその瞬間に歩きだす。
まずランウェイの1番手前側で、
顔を軽く背けつつ、
足開いてポーズをとる。
歓声が耳をすり抜ける。
そして一拍置いて勢いよく歩く。
前の人達は手を振ったり、
跳んだりしてた人もいた。
けれど私はただ歩く。
一点を見つめて。
1番奥までくると、
1番前の列に修達がいた。
目を見開き、口を開いて私を見ていた。
思わずその顔に少し笑ってしまった。
けどその笑ったおかげか、一際大きな歓声が立ち上がる。
私は自分の髪の左の方を軽くサラっと靡かせるようにしてポーズを決める。
そしてUターンして元の道を戻る。
ここも、気を抜かず。
そして1番手前でまたポーズをして、
私の、私達の束の間のステージは終わった。
舞台袖に入ってどっとくる安堵のため息。
ほっと胸に手をあてる。
数秒そこで立ち尽くし、それから木崎旬を見た。
「・・・っ、どうだった?」
少し渇いた喉に一旦声を引っ掛けつつもそう言った。
すると木崎旬は私をじっと見つめて近づいてくる。
・・・何か、怖いような、何かいつもと違う雰囲気。
私、何かやらかした・・・?
途中笑っちゃったのダメだった・・・?
いや、でもあれはお客さんも喜んでいたし。
結果オーライだったはずなんだけど。
私はドキドキしつつ木崎旬の言動を待つ。
私の目の前にコツンと靴をならして立ち止まる。
私が木崎旬を見上げる。
また、いつもみたいに黒い瞳。
ぐうっと自分が前のめりになるように引き寄せられる感覚に襲われて。
私がドキドキしている瞬間に、予想してなかったことが起こった。