逆ハーモデル〜美少女×4人のイケメン!?〜
――――木崎旬に抱きしめられた。
・・・え?
な、何これ・・・。
ぎゅうっと体に巻き付く力強い圧迫。
耳に触れる木崎旬の微かな息遣い。
鼻に入り込む木崎旬のシトラスの爽やかな香り。
「・・・!?」
頭がついていかなくなって、思考回路が数秒停止した。
思考回路が復帰してもどうも訳がわからない。
え・・・?
ちょっと・・・何・・・?
私の心臓の音凄い早い・・・!
木崎旬に聞こえる・・・!
でも、木崎旬の心臓の音も聞こえる。
すごい、はやい。
どうしよう。
戸惑う。
木崎旬も私と同じようにドキドキしてる・・・?
そう考えると、
心に何か甘い香りが広がるような感覚がした。
なんだろう、これ。
表現に困る。
言葉じゃ伝わらない、感覚。
私は何とか口を開く。
「・・・あの・・・?」
私がそう発した瞬間に木崎旬はビクリと体を震わせた。
その動きに私も驚く。
するとバッといきなり私を離す。
突然だったので思わずよろけた。
・・・足くじきそう。
体勢を立て直して木崎旬を見た。
何故か俯いていて頬と耳が赤い。
木崎旬はそわそわしつつも口を開いた。
「・・・わりぃ。
お前が・・・・・・から」
そうボソボソ喋る木崎旬。
すると私に背を向けてそそくさと去ってしまった。
私はそんな対応に呆然とした。
・・・なにこの取り残された感。
けど、胸が熱い。
ううん、身体全体が熱い。
沸騰しそうなくらいに。
小さく言っていたけど私は聞こえた。
“きれいすぎた"
そう言ったから。
キュッて胸が締め付けられる。
ドキドキする。
私は軽くため息をついて木崎旬を追った。
抱きしめられた感覚に、まだときめきと緊張が解けてないのに。
「美里!お前最高!まじ驚きだわ!」
残りの三人に出会った瞬間に、
修が駆け寄ってきてそう大きな声で言った。
「あ、ありがとう。声でかいよ。
何事かと皆見てるよ。」
私はチラチラ周りを気にする。
修はあ、と謝る。
要路や郁斗もよかったと行ってくれた。
結局、結果は私達の優勝。
一般客の投票で順位が決まるのだけど、
私達のチームは投票数の過半数を占めていたらしい。
授賞式ではトロフィーを貰った瞬間に修と郁斗がイェーイと飛び跳ね、
私と要路がアハハと笑いを零し、
木崎旬が呆れたように鼻で笑うという構図が出来上がった。
・・・そんなこんなで自分達の科の試験も、
ファッションショーも何の問題もなく幕を閉じた。
木崎旬を意識してしまう気持ちを除いては。