逆ハーモデル〜美少女×4人のイケメン!?〜
「あ、ちょっと!」
グイッ・・・、
そんな風に力強く右手をひっぱられた。
「・・・きゃっ・・・」
私はそんな声を小さくあげて、
ヨロッと一瞬体勢を崩した。
けれどすぐに持ち直して、
私の腕をがっしり掴んで放さない、
細長い指をもつ手を目で辿る。
手から、腕、それから首、
そして顔。
全て滑るように見て、
最後顔をみた瞬間に少し驚いた。
まぁ、この人だろうな。
軽く予想はしていたがまさか的中するなんて。
私の腕を掴んでいたのは、
あのサングラスの女の人だった。
「・・・あの・・・?」
私は当たり障りなく、
言葉を投げかけた。
「・・・いきなり引き止めてごめん!
職員室ってどこ?」
明るく、軽そうなタメ口で私に尋ねてきた。
・・・なんか運悪い。
どうして私が尋ねられたんだろう。
美里さんの知り合いなのかな?
なんていう視線をビシビシ感じた。
皆は勝手にそう思い込んだのか、
なーんだ、
みたいな感じで校門をくぐって帰っていく。
数秒の間に、
いつも通りの下校中の学校に変わった。
「・・・すぐ真っ正面の校舎の入口入って、
そうするとエントランスみたいなでっかいところ入るので、
そしたら左見て、
その左の道ずーっと歩いたら職員室って書いてある部屋があると思います」
そう身振り手振りで説明すると彼女の口元は明るくなった。
「わかった!ありがとうね!
バイバイ!」
そんな風に言って、
彼女は私から手を放して駆けていく。
私はそんな彼女の後ろ姿をボーッと見つめていた。
・・・誰だったんだろう。
うーん?
私は頭を傾げた。
傾げたところで何が解るんだ、って感じだが。
まいっか。
そう勝手に自分の頭で解決し、
私はクルッと踵を返してアトリエに向かった。
あー、久々に、旬とたくさん喋れるかも。
あれ?私普通の女子高生みたい。
好きな人と喋りたりなって、期待しているし。
私は心の中で笑った。
――――――
「・・・今の子めっちゃオーラあったなぁ。
超顔綺麗だったし。
・・・あの子かなぁ?
モデル科の一位の子・・・?」
そんな風に、
さっきの女の人が私の後ろ姿を見ているとは知らずに。