ツン(ﾃﾞﾚ)ツンな市岡くん

もちろん松波という名字は旧姓で、本来は深園愁太(ﾐｿﾉ ｼｭｳﾀ)。

戸籍はそうなってるけど高校を卒業するまでは旧姓のままでいくらしい。

「俺も彼女いんのに何で遊魅なんかと…」

「なんかととか言わないでよ。それにいいでしょ、愁太の彼女って学校違うんだし」

学校以外ではお互い名前呼びだ。

ややこしい事態になるのがめんどうだから、どちらからともなくそうなっただけだけど。

「おまっ…それ、禁句!!」

見るからに落ち込む愁汰をいじるのが最近の楽しみ…っていうのは内緒。

「本当に残念だよねぇ～受験して落ちちゃうんだもん。愁汰が」

愁汰の彼女が行ってるのは県内でもトップじゃないかと噂もされるぐらい賢い所で、あたし達が通うのは市内でも下から数えた方が早い学校。

中学の時も必死で先生にも止められたにも関わらず受けた結果、全く掠りもせずに落ちた、らしい。

その時はあたしも愁汰のことを知らないから、本人と彼女さんから聞いたことでしか知らない。