その女、最強総長【完】
「凛、こっち向け。」
「嫌。」
「向け。」
「嫌。」
いくら言ってもこっちを向こうとしない凛に近付く。
「なに?ぶつの?痛いの嫌なんだけどー。」
「違う。」
俺は凛の目の前に立って無理矢理、あごを手に添え視線を合わせる。
「…ッ。」
「凛、何で黙って俺達から消えた?」
「こんな、弱い姿…仁達に見せたくなかった。」
「弱くなんて無い…凜は…つよ…」
「嘘よ!嘘に決まってる…!どうせ今だって心の中で私を嘲笑ってる!醜いし、どうせ、あと少しで死んでしまう弱い女だって!心の中で皆皆、笑ってる。面倒臭い"凛"なんて
……死んじゃ…ンッ…ぅう…。」
「それ以上言ったら怒る、から。」
凜の唇はとても冷たくて、哀しくて。
その冷たさをどうにか取り除くことが出来たらどんなに良いんだろうと。
凛の苦しみを、俺が代わって上げられたらどんなに良いんだろうと。
そう、切実に感じた。