その女、最強総長【完】
時間が止まる。
というか、私だけが止まっている。
「俺の言いたい事解った?」
そしてフワリと手が解放される。
゛見て。゛と仁に促され、カチコチの体をどうにか動かして手を見る。
「誓いの契約兼、男避け。」
と言って満足そうに私の指に付いている、指輪を見て言った。
綺麗―……
指輪を見た瞬間、嬉しいとかそういう感情じゃなくてただ、綺麗だと思った。
カーテンから漏れる月に照らしてみると更に光輝くそれは、まるで星の様だった。
「太陽の光で透かして見ると、更に綺麗になるんだ。」
「そっか…、太陽は仁なのか……」
やっとの事で出た言葉は、それだけだった。
暫く放心状態で指輪を見つめていた。