その女、最強総長【完】
「え、と………」
簡単なのに。
一言、妊娠しました。って言えば終わりなのに。
その一言がとても……怖い。
大体、母親という物を知らない私に母親なんて役目出来るのだろうか?
どんどん、頭がこんがらがって行く。
「言えないんだったら、別に今日じゃなくてもい…」
「ううん、直ぐに言わないと……ッ」
怖くて涙が出る。
私は一体何回泣いたら気が済むのだろうか?
そんなに仁を困らせたいの?と、自分に問う。
「今日はもういいから…泣くな。」
ぽんぽんと頭を叩かれる。
違う。
違うよ。
仁にそんな表情してもらいたくって黙ってるわけじゃない。
仁にそんな言葉かけてもらいたくって黙ってるわけじゃない。
スゥ―……
深く息を吸い、一気に吐き出す。