その女、最強総長【完】
「一つの体なのに、まるで沢山の人が居るみたい。」
「…凛は一人しか居ないよ。」
仁はそう言って、私のお腹に耳を当てた。
「凛の、小さな体には確かにもう一人、居る。」
「そう‥だね。」
そう、私はお母さん。
この世界でたった一人のセイのお母さん。
「頑張らなきゃ。」
「……強くなったね、凛。」
仁がクシャッと頭を撫でた。
私にとってそれは、最高の誉め言葉で。
つい、頬が緩む。
「あ、セイって誰……?」
思い出した様に仁は言った。
コイツ、私の日記帳勝手に見たな。
「さぁ、誰でしょう?」
たまには、私が意地悪をしてみた。